同じFXでも、通貨ペアごとに「動きやすい時間帯」「ボラティリティ」「ニュースの影響」「スプレッド」などの性格が異なります。この記事では主要ペアの特徴と、あなたのトレードスタイルとの相性をわかりやすく整理します。
はじめに(重要)
本記事は教育・情報提供を目的とした一般的な解説です。将来の利益を保証するものではありません。実際の取引はご自身の判断と責任で行い、必要に応じて少額から検証してください。
主要ペアの早見表
通貨ペア | ざっくり性格 | 動きやすい時間帯 | 相性が良いスタイル | 主なドライバー/注意点 |
---|---|---|---|---|
USD/JPY(ドル円) | トレンドもレンジも出るが比較的素直。急変は指標・要人発言・金利差。 | 東京午前・ロンドン序盤・NYオープン | スイング/デイトレの順張り、指標時のブレイク狙い | 日米金利・国債利回り、日銀関連のヘッドラインに敏感 |
EUR/USD(ユーロドル) | 世界で最も取引量が多くテクニカルが効きやすい。 | ロンドン時間全般~NY序盤 | テクニカル重視のデイトレ/スキャル | ECB・米FOMC・PMIなどでトレンド継続/転換が明確になりやすい |
GBP/JPY(ポンド円) | ボラティリティ高め。伸び出すと速いが戻しも鋭い。 | ロンドン時間中心、英指標時 | 順張りブレイク、短期の押し戻り狙い | 英経済指標・要人発言に敏感。ポジションサイズに注意 |
GBP/USD(ポンドドル) | 英米ニュースでトレンドが走りやすい。ヒゲも出やすい。 | ロンドン~NYオーバーラップ | トレンドフォロー、ニュース後の押し目・戻り | 損切り位置を浅くし過ぎない。指標直後のスプレッド拡大 |
EUR/JPY(ユーロ円) | ドル円とユーロドルの影響を受けやすい「クロス円」。 | 東京後場~ロンドン序盤 | 相関を見た押し目・戻り、ボックス抜け | ダブルのニュース影響(欧州+日本)。方向感が噛み合わないと難しい |
AUD/JPY(豪ドル円) | 資源・中国関連の影響を受けやすい。比較的素直。 | 東京~豪州時間、ロンドン序盤 | スイング、移動平均の順張り | 中国指標・商品市況・RBA要人発言に注意 |
AUD/USD(豪ドル米ドル) | 商品市況とリスクオン/オフで動きやすい。 | 豪州~ロンドン移行帯 | レンジブレイク、押し目買い・戻り売り | コモディティ価格・中国関連ニュースのチェック必須 |
USD/CHF(ドルスイス) | 有事のフラン買いで逆行しやすい局面あり。 | ロンドン~NY | 安全資産フローを意識したスイング | 突発リスク時にテクニカル無視で走ることがある |
NZD/JPY(NZドル円) | 比較的穏やかだがときどき大きく走る。 | 東京~オセアニア | スイング、トレンド追随 | 乳製品オークションやRBNZ関連でのボラ拡大 |
相性の見つけ方:3つの軸で考える
軸1 ボラティリティ耐性
値動きが速いほどチャンスも損失も拡大。「ヒゲで狩られやすい」と感じるならボラ控えめのペア(例:USD/JPY・EUR/USD)から。
軸2 トレード時間帯
取引できる時間に市場が活発かが重要。日本の昼中心ならUSD/JPY・AUD/JPY、夜メインならEUR/USD・GBP/JPYなど。
軸3 ニュース感度
指標直後の乱高下が苦手なら、発表カレンダー前後は見送りや広めの損切りで調整。ニュースに乗るならブレイク戦略を用意。
チェックリスト
- 平均的な1日の値幅(ATR)を把握している
- よく使う時間足でテクニカルが素直に機能する
- 取引可能な時間帯に出来高が乗る(スプレッドが安定)
- 主要ニュースの時間を前日までに確認している
通貨ペアごとの詳しい解説
USD/JPY(ドル円)
日本の個人投資家に最もなじみのあるペア。比較的スプレッドが狭く、テクニカルも効きやすい一方、金利差や要人発言で一方向に走ることがあります。
- 向いている戦略:移動平均に沿った順張り、アジア時間のレンジ→ロンドンでのブレイク
- 注意点:日米金融政策イベント(FOMC、日銀会合)前後は想定外のボラ拡大
EUR/USD(ユーロドル)
世界で最も流動性が高く、ダマシが比較的少ないとされる代表ペア。ロンドン~NYの重なる時間帯にトレンドが伸びやすいです。
- 向いている戦略:ブレイク&リテスト、トレンドライン・水平線の反発/抜け
- 注意点:ECBや米雇用統計・CPIなどの後は方向が出ても戻しが深くなることあり
GBP/JPY(ポンド円)
ボラティリティが高く利益も損失も伸びやすいハイリスク・ハイリターン型。裁量に自信が出てから少量で扱うのがおすすめ。
- 向いている戦略:ロンドンの初動ブレイク、短期押し戻りの順張り
- 注意点:英指標(GDP・インフレ・雇用)・要人発言でスプレッド拡大や急反転
GBP/USD(ポンドドル)
英米のニュースで一気に走ることが多く、「抜けたら速い」タイプ。損切り幅の設計が重要です。
- 向いている戦略:指標後の順張り、20EMA回帰からの再加速狙い
- 注意点:ヒゲの往復で刈られやすいので分割エントリー・分割決済が有効
EUR/JPY(ユーロ円)
クロス円の代表。ユーロドルとドル円の両方の影響を受けるため、2つの方向感が揃うと強いトレンドに。
- 向いている戦略:相関確認後の押し目・戻り、ボックスレンジ上抜け/下抜け
- 注意点:親ペア同士が逆行するとノイズが増える(無理に触らない判断も大切)
AUD/JPY(豪ドル円)
商品市況や中国経済の影響で中期トレンドが出やすい傾向。東京時間でも比較的動きます。
- 向いている戦略:4時間足~日足の移動平均順張り、押し目買い中心
- 注意点:中国関連ヘッドラインでのギャップや急変
AUD/USD(豪ドル米ドル)
リスク選好・回避の地合いを受けやすく、テクニカルも比較的素直。
- 向いている戦略:ボックスレンジの上限・下限トレード、レンジブレイク
- 注意点:商品価格(鉄鉱石など)やRBA会合日に留意
USD/CHF(ドルスイス)
「有事のスイスフラン買い」でドル円と逆相関的に動く場面があり、分散の観点で観察する価値あり。
- 向いている戦略:マクロイベント時のフロー追随スイング
- 注意点:流動性が薄い時間帯のギャップ
NZD/JPY(NZドル円)
比較的落ち着いた値動きの中に、たまに大きなトレンドが出現。スイングの練習にも。
- 向いている戦略:上位足トレンドフォロー、押し目・戻り狙い
- 注意点:RBNZ、乳製品指標(GDT)でのボラ拡大
実践手順:自分に合う通貨ペアを選ぶフロー
- 候補を3つに絞る:普段取引できる時間帯に活発なペアを選定(例:夜のみ→EUR/USD・GBP/JPY・GBP/USD)。
- ATRでサイズ調整:直近14日のATR(同じ時間足)を見て、損切り幅の目安とロットをペアごとに最適化。
- ニュースを管理:週初に重要指標カレンダーを確認し、対象ペアの「発表前後は見送り」ルールを用意。
- 記録する:勝ち負けではなく、計画通りに実行できたかの観点で日報を残す。
- 月次で見直す:勝率・損益曲線・最大DDを比較し、相性が悪いペアは思い切って外す。
スタイル別の相性ヒント
スキャルピング~短期デイトレ
- 流動性が高くスプレッドが安定:EUR/USD・USD/JPY
- ボラでチャンス拡大:GBP/JPY・GBP/USD(ロット小・損切り広め)
スイング~中期トレンド
- テーマ相場に乗りやすい:AUD/JPY・AUD/USD・EUR/USD
- 分散として:USD/CHF(地合いの逆流に注意)
レンジ戦略が得意
- アジア時間のUSD/JPYやEUR/JPYはボックス形成を観察
- レンジ上限・下限+出来高/オシレーターで反応を確認
ブレイク戦略が得意
- ロンドン初動のGBP系、NYオープン前後のEUR/USD・USD/JPY
- 「抜けたら速い」=待つ→乗る→素早く逃げるの徹底
リスク管理とマナー
- 固定の最大損失:1回のトレードで口座の1~2%を上限に。
- ロットはペア別:ATRや想定損切り幅でペアごとにロットを最適化。
- 流動性の薄い時間帯を避ける:早朝・祝日・指標直後はスリッページに注意。
- 誇大表現を避ける:短期での大きな利益を前提にしない(計画と検証が最優先)。
© 本記事は一般的な情報提供であり、特定の投資行動を推奨するものではありません。広告ポリシーに配慮し、過度な期待を与える表現は避けています。
よくある質問(FAQ)
Q. 初心者はどの通貨ペアから始めれば良い? A. 流動性が高くスプレッドが安定しているEUR/USDかUSD/JPYが一般的です。まずは1~2ペアに絞り、記録を取りながら慣れていきましょう。 Q. ボラが高いペアは避けるべき? A. ボラはリスクとチャンスの両面があります。ロットを下げる・損切りを明確にするなどの管理ができれば選択肢になります。 Q. 相性はどうやって判断する? A. 「予定したシナリオどおりに動くことが多いか」「狙った時間帯にチャンスが来るか」「メンタル的に無理がないか」を月次でレビューしてください。
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